神奈川・茅ヶ崎の児童養護施設=癒しのための巣づくり

20100730-Pizza Oven

ピッツァ・オーヴン制作 奮闘の軌跡
(2009年9月~2010.6月)

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↑ 土台。
けっこう見事な積み上がり!
鉄筋もキッチリ入れてます。

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↑ 火床。
ここで炭や薪を焚きます。
これは普通の耐火レンガで。

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↑ 窯の背中を立ち上げ。
ここかからはセラミック・レンガ。蓄熱性能が高い。それに加工がしやすい。
ピッツァは直接の炎ではなく 窯そのものの蓄熱で焼く(=Oven)のです。

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↑ 火床の天井に耐火レンガの大判を乗せる。
火床の天井はすなわち焼床(ピッツァを乗せ焼くところ)なり。
奥のスリット ここから炎が昇る。登り口のレンガを斜めに加工。
左右の隅もモルタルで埋め 角をつくらず炎が昇りやすく。

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↑ スリットの拡大。
右が焼床の大判レンガ。ピッツァを乗せ焼くところ。

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↑ 窯のボティを積み上げるための土台。
発砲スチロールを加工。まるンとして可愛らしいネ。けど積み上がった後で削り抜く。
なぜまん丸かというと 窯の隅に角をつくらないための工夫。
写真手前の 前面と側面の角の内側にモルタルを詰めてある。
前も後ろもこれをグルッと回す(一段積んではモルタルを詰めるを繰り返す)ことで
窯の内側に直角の隅がなくなる(分かるかなあ)。
これも炎を勢いよく回すため。

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↑ さっきのまるンとした発砲スチロールの土台がみえている。

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↑ 針金で補強。このままボディ全体をモルタルで覆う。

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↑ これが今回最大の工夫。
モルタルで一旦覆われたボディの外側に さらに空気層を設けようと。
空気には高い断熱性能がある。熱した窯を空気層で守る。
そのための缶カラベルト。いろいろと考えに考えた末の答え。
自分ン家で空き缶をずっと貯めておいたのです。

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↑ 缶カラベルトをモルタルで覆い 空気層を確保。
つまりこの窯は
「蓄熱体であるボディ」+「断熱層である空気層」+「外壁」
という三層構造なのです。
それに 「火床」+「焼床」の二段窯 という本格派!

煙突は半ばダミーというかアクセサリー。可愛らしいので。
説明書などでは 窯に直結した煙突が紹介されていますが
それだとせっかくの熱を逃がしてしまうだろうと。
これも考えに考え抜いた結論。
もちろん入口からの上昇気流も多少は期待。

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↑ 煙突へつなげる部分も まず発砲スチロールを成形してモルタルで造形。
それを後で削り抜いて ↓

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↑ さらにフードへつなげる部分。
この部分も 大量に絵を描いていろいろ思考 模索した答えです。

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フード。
煙突もフードも機能的には必要かどうか。
火床からスリットを通って昇った炎が窯をペロッと舐め
窯の口から外へ出た熱気がフードと煙突に引っ張られて上昇気流ができるのではないかと。

↓ ほぼ9割の完成写真ですが
残り1割の最終形はムーミンのオデコ。
出来上がりは白。これから白のテレテレのオデコに。

20090928-PizzaOven (48)

煙突の位置が 上のパーゴラの桟に掛かりそうになってしまっていますね。
これは この工事全般にわたり無数にあった失敗のうちの 第一歩目の失敗の結果であり 象徴です。

ここは 最初コンクリートの地面にセンターを出すときはキチンと桟と桟との間をとっていたんです。
煙突の熱でパーゴラが燃えちゃわないように まん真ん中にくるよう考えていたはずなんです。
ところが今となって振り返ってみると おそらく
”センター”であるはずのマークに対し 1段目のブロックを置くとき その”端”を合わせてしまったんですね!
マークしたときはちゃんとパーゴラまで見上げていたのに モルタルを練ったりその他いろいろ準備したりしているうちに いざブロックを置くときには地べたばかりを見てしまい 視野が狭くなってしまっていたのでしょう。
痛恨ですね。シロウトですね。

人生 常に冷静で広い視野にたって見渡していなければならない。
こんな失敗が各ステップでイヤというほど繰り返されたのです。

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そしてようやく最初の一枚がこれ マルゲリータ!
あんまり おいしそうではありませんね・・・

 


窯の制作にあたっては
あらゆる資料で研究し 自分でも図や絵を大量に描きアレコレ想像をめぐらし しかも実はこれ2号機なんです。これの前に 自宅で試作第1号を実際に制作してから臨んだのでした。そうやって 事前にけっこう綿密に段取りをつけ試作までして着手したつもりでしたが いざ工事を始めてみると これが失敗の連続。何度も後戻りしながらエッちらオッちらここまで辿りついたというところです。
(写真のデータをみると 1枚目2009.9.28~最後2010.6.16となっています)


さらに!
「窯を自作した人は必ず次を作りたくなる」とどこかの本に書いてありました。
いや これホントウデス!!
この窯は2号機で しかも未完成(まだムーミンのオデコにはなっていない)ではありながら すでに失敗感の方が勝っているのですから!!!


ムーミンのオデコについて

グンナール・アスプルンドというスウェーデンの建築家に「夏の家」という建築があります。この家のリヴィングには白い大きなカマド?(暖炉?)があります。
これなんです。
カタチといい色といい感触(写真ですが)といい まあ惚れボレするような物体なんですね。真っ白でつるんとしていて可愛くて そして太くて大きくて天井からプックリ膨らみ出たような物体。これが床のところでアングリ口をあけているんです。ムーミンのオデコ 存在感たっぷりの造形ですよ。

グンナール・アスプルンド 夏の家 ムーミンの形をした暖炉、床段差がある落ち着いたリビング | 冨田秀雄建築アトリエ

どうです?

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