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「主よ終わりまで」 讃美歌338

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「主よ終わりまで」讃美歌338は 日本でもとても人気の曲で あちこちの教会で歌われているでしょう。
原題は”O Jesus, I have promised”です。

で こちらの”Day of Rest” ですが・・・

実は これも同じ ”O Jesus, I have promised”の歌詞をもっている曲なんです。つまり 有名な?「主よ終わりまで」には もう一つ別のメロディがあったのです。

まあ 讃美歌の世界にはよくあることですが 両方ともオリジナルのようなので もしそうなら面白いですね。

詩をもとにして 曲を募集したのか。そして最初にできた曲が気に入らなくて 別に依頼し直したのか。

それとも 詩に感動して2曲目が独自に作られたのか。そして2曲ともそのまま存在していたが 日本では片方しか知られていないとか。

いやいや もしかすると 誰かが勝手にくっつけて歌っちゃったとか。

そんなことを想像しながら調べてみると アレレレレッ!?

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「一つの歌詞に2つの曲」どころか むしろ この”Day of Rest”一つの曲に いくつもの異なった題名と歌詞がつけられているではありませんか!
しかもどれも印刷された つまり出版されたもののようです。それはもうホントに「好き勝手に」というぐらい種々雑多という感じでね。

イングランドで現代の著作権にも通ずる法律ができたのが19世紀後半です。
そしてこの曲の発表がちょうど1870年代だというので まだまだ「権利」などという概念自体が混とんとしていたんでしょうね。

ですから冗談でなく 好きな曲があればホントに「みんなが好き勝手に」歌詞や題名をくっつけて歌っていたんだと思います。もともと讃美歌には「替え歌」は多いですからね。この辺はサッカー応援のチャントと同じ感覚なんでしょうか。

何にしても この”Day of Rest”
作曲者の James William Elliot なる人物は ヴィクトリア期のイングランドでは人気の作曲者だったらしいですし しかも彼の作品としては最も知られた讃美歌だとも書いてあります(https://www.hymnary.org/tune/day_of_rest_elliott)

残念ながら それが何故か日本では普及していないというだけで。
(ちなみに 曲自体は”Day of Rest”の方が先)

 

というわけで こちらも なかなかステキなので弦楽四重奏で再現してみました というお話でした。

でしたが・・・

さらについでに分かったことが。

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上で
有名な?「主よ終わりまで」には もう一つ別のメロディがあったこと
またその”Day of Rest”一つの曲に いくつもの異なった題名と歌詞がつけられていたことを書きました。

しかしそれで終わりではなかったのです!

そもそも
〝有名な?「主よ終わりまで」”は 元々は違う歌詞のために作曲された曲だと !

なんじゃこれッ?!

作曲は Arthur Henry Mann
題名は “Angel’s Story”
“I love to hear the story which angel voices tell”

という讃美歌のために作曲されたのだと。
だから題名が”Angel’s Story”(これは詩が先にあったということですね)。

それにいつしか ”O Jesus, I have promised”の歌詞が乗せられて さらにそれが日本では〝有名な?「主よ終わりまで」”となったということです。

つまり 私(ほか多くの日本人)が親しんでいる「主よ終わりまで」は ”Angel’s Story”だと言うべきなのかもしれないし

いやいや 日本の歌詞の元となっているのは ”O Jesus, I have promised”なので やはり「主よ終わりまで」でいいのかもしれないし。

ややこしい!

・・・と ここまで書いてきて 密かに『もしや?』と思い続けていたことが さらに調べてみると『やっぱり』ということになっていましたよ。

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まず
① 「主よ終わりまで」には別の曲があったこと。
つまり 一つの歌詞(O Jesus, I Have Promised)に別の2曲目が存在することを見つけた(まあここまでは「へ~」とフツーですね)

と思ったら その次に
② その2つ目の曲(Day of Rest)には たくさんの異なった題名と歌詞のついた讃美歌があることを発見! そしてその数の多さに唖然!(これフツーではない)

③ 「主よ終わりまで」のメロディは 元々違う歌詞のための曲だった(どこまでゆくんだ!)

そして 『もしや?』と思いながら尚もみてゆくと おいおいッ!

④ ”O Jesus,I Have Promised” は2曲どころか まだまだ別の曲があったことがわかってしまいました。今のところ4曲くらい。

『やっぱりねー!』

それらの曲は あんまり良いとも感じないので今回再現はしていませんが この調子じゃ もっといろいろ使いまわしがあるかもしれませんね。
ヤレヤレ・・・みなさん 好き勝手でよろしいんじゃないでしょうか。

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こうなってくると 曲の題名とはなんぞや。オリジナルとはなんぞや。詩には文字があるので区別できるが メロティはどう呼ぶべきか。

(讃美歌は 替え歌が多く だから一般的に「歌い出し」を題名替わりにしているんでしょうね。メロディの方は番号ですから認識しづらい)

ん~ ややこしい~

やっぱり クラシック音楽界の「楽譜に忠実」主義なんていうのも さらには著作権なんてのも ある種の権威主義というか 偏狭な感じもするし 眉にツバで捉えた方がいいんじゃないですか。

「ブラジルにはファンの数だけ監督がいる」とサッカー界では言われていますが キリスト教世界でも「信者の数だけ讃美歌のヴァリエイションがあってもいい」・・・ことにはならないか。

まあ実際には 作者の尊厳とかオリジナリティーというのも重要ではあるんで むずかしいところですけどね。

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ハイ
というわけで
讃美歌338『主よ終わりまで仕えまつらん』は
元々 “Angel’s Story”だった曲に
“O Jesus, I have promised”という歌詞が乗り
それを日本語訳した讃美歌である
というお話でした。

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