そこには、誰もいない、私だけだった・・・。

TVで、壮大なサバンナのなかを、ライオンが獲物を追いかけている映像がよく映し出されるが、そんな壮大なサバンナの中に、たった一人で立っている感覚であった。そんな感覚は初めてだった。

その瞬間、私のインスピレーションがひらめいた。ここに住もう。そして、私の第二の故郷になった。

時は流れ、私は湘南、茅ヶ崎に流れ着いた。そして、今、面倒を見ている子どもに四万十川を見せてあげたいといつの頃か思うようになった。

2008.7.28(1日目) 四万十川へ行こう

キャラバンにD(18歳、男)、K(16歳、男)、S.H(15歳、男)、H(14歳、女)、Y(11歳、男)、S.Y(9歳、男)を乗せ、私とみっちー(27歳、男)は、茅ヶ崎ファームを出発した。四万十川へは、高速道路や下道を使い、14時間の道のりになる。子どもたちの車中でのにぎやかさをよそに、私とみっちーは、無事に着けることをまず願った。

茅ヶ崎ファームを出て、秦野インターまで帰宅のラッシュにつかまりながら、何とか高速に乗った。高速道路で、まず、目をやったのが、4月にサウーリのお出かけで行った富士山だ。ぎりぎり夕日がかった富士山に、思わず、KやDは自分の携帯のカメラでパシャリ!旅行の出だしで、何と縁起のいいことか。

真っ暗闇を、さらに、高速道路を車で走るなんて、みんな初めての経験だろう。夕方、出発して、小腹がすいてきた私たちは、夕食を買いに、御殿場を過ぎたあたりのパーキングエリアに寄った。それぞれの夕食を買い、四万十川を目指すために、早々と車に乗り込んだ。

Dのウォークマンをキャラバンにつなぎ、音楽を聴きながら、高速道路を走る。真夜中を過ぎる頃、子どもがちらほらうたた寝する。そして、ほぼみんな寝に入る。時々、起きては、「今、なに県?」と聞いてくる。高速道路なので、外の景色はあまり変わらないが、自分がどこにいるか知りたいのか、子どもたちは何度も同じ質問をしてくる。

2008.7.29(2日目) 四万十川、ご来光

早朝3時か4時くらいだったであろうか、本州と四国を結ぶ瀬戸大橋に近づいた。が、しかし、こんな感動的な場面でも、相変わらず寝ている。少し前に、運転を代わったみっちーも寝ている・・・。あわてて、私はみんなを起こす。みっちーと子どもが1、2人かろうじて起きる。が、少し見ただけで、また寝に入る・・・(涙)。

高知県の須崎インターで下りて、さらに2時間南下したところに目的地はある。6時頃にインターを下りた私たちを待っていたのは、爽快な真っ青の空、鮮やかな緑をした雄大な山々、そして、透き通るぐらい綺麗な色をした太平洋の海。「すげー」「超きれいじゃん」「湘南の海とはぜんぜん違うね」などなど、いろんなことばが飛び交う。ここでも、カメラをおもむろに取り出し、パシャリ!

そして、ついに、四万十川へ着いた・・・。みっちー「ひろいっすねぇ」、K「きれいだねぇ」と。四万十川の河口もよいが、「まだまだ四万十川の魅力はこんなものじゃないよ」と、私はそう思いながら、車を走らせる。今回の旅行でお世話になるS(30歳、男)さんとの約束の時間に、まだ2時間近くあるので、朝食を海でとろうと提案する。四万十の町から20分くらい走らせたところの「名鹿(なししと読む。めっちゃ綺麗、かなり透明度がすごい)」という海でとることにする。名鹿の海に着くや、子どもたちの口から賞賛の声!みんな車を降りたら、海へ直行!!岩場で、朝食をとり、すぐに、磯遊び。なまこのでかさ、多さにびっくり。ウニもカニもいるし、小魚もヤドカリもいっぱぁ~い。しかし、湘南育ちの子どもは、貧弱なのか、慣れていないのか、なかなか触ることが出来ない・・・(涙)。磯遊びもほどほどに終えた私たちは、目的地を目指す。

四万十市街から、上流にむけて車を10分ほど走らせると、その場所はある。河口から数えて、1つ目の沈下橋、佐田の沈下橋に差しかかる。沈下橋とは、大雨が降ると、ダムがない四万十川は水量が増え、暴れ川になり、その時に、橋が川に沈むことからそう名づけられたそうである。ちなみに、本流に沈下橋は21箇所あり、橋の横にある欄干は川に流されるので、ない。話を戻し、佐田の沈下橋に来たとき、車が一台通れるくらいの狭さに、みんなあせる。「うおっーと」歓声が上がり、車の外を覗き込み、橋の下を見る。何とか通り抜け、橋のすぐそばにあるコテージに車を止める。思っていたより、かなり良いコテージであった。泊まる所をテントかコテージか迷っていた私たちは、コテージを見るや即座にコテージを選んだ。子どもたちは、車から降りると、すぐに水着に着替え、釣りの用意をして、川へと消えていった。Hはコテージで、優雅に音楽を聴いている。

Kの後をYやS.Hは金魚のフンみたいについていき、釣りをしたり、網で魚を獲ったりしている。Dも見よう見まねで、魚を獲っている。みっちーは足長エビを捕まえに行き、まあまあでかいやつを2匹獲った。だんだん慣れてきた子どもたちは、少しずつ魚も釣れ始めた。中でも、すごいのはSだ。ゴーグルをつけ、網を右手で持ち、もぐって数分すると、「とれたー」と。それが十数回も続いたのだ。Sは四万十の子どもじゃないかと思い違いするほどだ(笑)。

川遊びをほどほどに終え、夕食のBBQの買出しに出かけた。途中、四万十に住んでいたとき、働いていた保育園の先生の畑へ行って、キュウリとオクラとメロンをもらった。キュウリのでかさにみんなびっくりした。そして、スーパーへ向かい、食材を買った。花火もみんなやりたくて買った。帰りに、釣りの道具を買い、コテージへ戻った。

コテージへ戻ると、すぐにKとYとS.HとS.Yは釣りの用意をして川へと向かった。私とみっちーとDはBBQの準備に取り掛かった。Hも率先して、野菜を切ったりと女の子らしい一面を見せ、手伝ってくれた。釣りをしている子どもたちに、「少しは準備手伝えよ」と思いつつ、「ここまで釣りに没頭しているのなら、本望だ」と思いかえし、声をかけるのをやめた。そして、ぞくぞくと四万十で知り合った人たちが、差し入れを持ってきてくれた。高知県の名産のかつおのたたき(その土地で食べるたたきはかなりうまい)、足長エビのから揚げ、うつぼ(海の蛇)、小夏。あと、いのししの肉(くせはあるが、結構いける)やアイス、スイカ・・・。かなり差し入れをもらい、みんな大満足。この場でお礼を改めて、「ありがとうございました」。さて、子ども達はというと、まだ釣りに夢中で、いろいろ焼きあがったというのに、食べに来ない。まあ、夢中になることはいいことだと思いつつ、食べるものがなくなりそうだったので、仕方なく呼びに行く。子どもたちは、私の知り合いとそこそこに戯れ、食べ物をほおばる。中でも、Yはなぜか和気あいあいとしており、よくからむ。Dも極度の人見知りなのに、ちゃんと受け答えしており、少し感動。Dは旅行が終わると、卒園の予定で、Dとの思い出がよみがえり、懐かしく思う。日も暮れ始め、私たちは早々にBBQもお開きにし、コテージへと向かう。

BBQを終え、コテージで、2次会?のんびりタイムだ。みんなおかしをつまみながら、いろんな話に花を咲かせている。そんななか、順番にお風呂へと向かおうとするが、クモがいて、みんな怖がって、なかなか入ろうとしない(田舎のクモは結構大きいのでまあしょうがないが)。意外にも、アウトドアなKが怖がっていたことに、新鮮な驚きを感じた(夜も大きなクモが出て、となりのS.Hを起こしたらしい・・・)。就寝は、意外と早く、22時過ぎにはみんな寝床にはいった。

2008.7.30(3日目) 四万十川と触れ合い、溶け合う

早朝6時。子どもたちは自然と起き、釣りに出かける。昨日から、随分と釣りにも慣れて、魚も大量に釣ってくる。私もまだ眠いが、目をこすりながら、早朝散歩に出かける。いつ見ても、四万十川は綺麗だが、早朝の四万十川は格別だ。四万十川、最高ー!朝から得をした気分になり、幸せを感じる。何枚か写真を撮ると、朝食の準備にとりかかる。朝食は、昨日のBBQの残りの焼きそばだ。KやHやDは、「あーだ、こーだ」と朝食を作ってくれ、それをみんなでほおばる。片付けもきちんとやり、「お手伝いも自然とできんじゃん」と、感心する。

午前8時前、カヤックをやりに、沈下橋をひとつ上がったところの三里の沈下橋に到着する。カヤックが出来るように、もうすでにSさんは準備していてくれた。ひと通りの説明を受け、早速カヤックに乗る。一人だと心配なS.YとYは3人用のカヤックでSさんと出発だ。みんな初体験にしては意外とうまく、優雅に漕いでいる、一人を除いては・・・。Hはカヤックに振り回され、ひとりわめいている。みんな苦笑い。何回教えても、一向に進まないため、やむなくYと交替。交替したYはなかなかうまく、いつになくテンション高い。いつもすぐにだれてしまうが、四万十川へ来ては全くなく、釣りやカヤックを楽しんでいる。喜ばしいことだ。みんなは四万十川をカヤックで下りながら、それぞれの肌で触れ合い、溶け合う。自然の雄大さに感動していることだろう。「四万十川、ありがとう」と心の中で言う。

カヤックを1時間半楽しんだ私たちは、コテージへライフジャケットを返しに行く。まだ、帰るには時間が少し残っている。その時間を子どもは見逃さない。帰りの支度を手短に終えると、釣りをやりに川へと向かう。子どもの(まあ大人でもそうだが)好きなものに対するパワー、好奇心には日々感心する。それはそうと、大人は帰りの運転もあるので、ここぞとばかりに昼寝に入る(大人とは先のことを考え、行動できる動物なのか・・・)。

帰る時間も近づき、今回の旅行でお世話になったSさんにお礼を言い、コテージを後にする。帰る途中に、お土産をそれぞれ買い込んで、また、なが~い時間をかけて、ファームを目指す。「四万十川、さようなら、また来るね」

2008.7.31(4日目) 四万十川よ、永遠に

さあさあ、帰りの車の中は、四万十川を出た途端、子どもたちみんな爆睡。途中、トイレで少し起きたくらいで、爆睡がファームへ帰園するまで続いたからびっくり。よっぽどみんな今回の旅行を満喫したのかな。その答えに、私は単純にうれしいの一言です。まあ、帰りの運転は死にそうなほど大変でしたけど。今思えば、無事帰ってこれたことが奇跡です。

今回の旅行でお世話になったSさん、保育園の先生のみなさん、あと、四万十川へ、この場をかりて、お礼を申し上げます。

P.S. 午前8時くらいにファームへ着きました。その後、子どもはプールへ行ったり、部活へ行ったりとパワフルに活動していました。大人はというと・・・Zzz。