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La Via Dolorosa「ドロロー~サ 苦しみの道」

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私家アレンジ版
(改詞も)

“La Via Dolorosa”
(ほとんどの資料では”La”が入ってませんが おそらく正確には”La”は必要なんじゃないでしょうか)

このアレンジ版では 伴奏ピアノを「孤独」「孤高」に響くよう表現しました。 

歌詞の方も独自に(勝手に)改訳しています。
日本語であっても リズム感とか歯切れの良さとかを表現したかったのが一番の理由。
(短い単語を羅列してそれを表現した)
同じく スペイン語版などの節回しに近づけたいというのもありました。
(言葉と譜割りを工夫してストレス(強弱)を近づけた)

全体として 「孤独」や「悲しみ」を表現しながらも あまりネットリならないようアレンジしています。

しかしこんな勝手なこと(特に歌詞を変えてしまうこと) カソリックなど 既存の日本語歌詞に馴染んた人達にはヒンシュクをかってしまうでしょうが。

 

ドロローサとは 「苦しみ」とか「悲しみ」とかのラテン語。
Viaとは 「道」とか「行き先」「~経由」ですね。

キリスト教世界(主にカソリック)で 磔刑判決を受けたイェスが 十字架を背負って処刑場まで歩いた道のりを言います。ポンテオ・ピラトの館からゴルゴダの丘までの約700メートルの道のり。

これを Via Dolorosa(苦難の道)と言って イェスが人々の罪を背負って歩いた苦しみの道として 現代キリスト教世界では重要視しています。「聖地」であり 「観光地」のひとつでもあるんです。

エルサレムへ行けば今でも 宗派によっては模擬的に十字架を背負って歩く儀式が日々行われているし また国外からも 巡礼としてその道のりを歩くことを目的に来る人々も多いらしいです。もちろん観光客にも人気の観光コースで お土産屋が連なるなど そういった意味でも かなりの賑わいの道でもあるんですね。

ただし エルサレムはイェスの時代の後 ローマによって蹂躙されて街そのものが造り直されているので ゴルゴダの丘もそうですが 実際にイェスがどう歩いたか それを忠実に辿るのには無理があるわけですけどね。

さて原曲についてです。
“Via Dolorosa”は Sandi Pattyという人の2008年発表のアルバムに収録されています。自分で歌っているんですが どうも作曲もこの人のようです。

この人の経歴を見るとオクラホマの典型的な中流クリスチャン・ファミリィで 共に教会関係の音楽家である両親の元に育っています。両親と兄も交えた「ファミリィ」として音楽活動をしていた時期もあったと。
そんな環境からすると このメランコリックでマイナー調の”Via Dolorosa”とはイメージが重なりません。実際 スペイン語やポルトガル語の演奏がたくさんあって その方がしっくり聴ける気がします。

この他の演奏としては 白人・黒人・ソロ・デュエット・合唱・ラテン系・正統派・ギター・サックス・ハンドベルなどなど 歌や器楽が無数に存在しますから 人気の曲なんでしょうね。

ところで
“Stabat mater” という曲があります。こちらは「悲しみの聖母」などとも訳されています。

あまり有名ではありませんが これもカソリック聖歌の一つ。
ナポリの作曲家Pergolesiという人のもので 出だしのハーモニィが重なり合う美しい曲です。

その歌いだしが ”Stabat mater dolorosa…”
「mater」は「mother」のラテン語。
「mather dolorosa」 つまり「悲しみの母」

もっとも
この”Stabat mater”という曲。詩の方は Jacopone da Todiという人の作とされていますが それより これを元に曲をつけた作曲家の数がすごい。
その数 約600人とも!

ナンデ!?

有名どころがこぞって作曲しているんです。
ジョスカン・デュ・プレ以下 パストレリーナ ヴィヴァルディ スカルラッティ ハイドン ボッケリーニ ロッシーニ グノー ドヴォルザーク ヴェルディ プーランク ペールト それに先のペルゴレージ・・・
知っている名だけでもこんなに!
 もう誰も彼もです! 知りませんでした(何故日本ではあまり知られていないんでしょうね)

そうです。つまりこの詩には600以上の曲があったということです! きっとこの詩そのものも そしてDolorosaとう言葉も 宗教的に重要で 文化的にも馴染の深いものなんでしょう。

例えば 「ドロローサ」は人の名前でも時々見ますよね。
Dolorosa”は元はラテン語ですが スペインでは女性の名として「ドローレス」は多いですしね。愛称も多く派生していて ”Loli” とか ”Lola”とか。「ロリータ」もその系列でしょうか。

それから
“Via Dolorosa”にも再三出てくる「カルバーリョ」

言うまでもなく イェスが十字架に架かった場所です。日本では「ゴルゴダの丘」といっている。
「ゴルゴダ」はアラム語読みを踏襲したもの(「ゴルゴダ⇐グルガルタ」)で 「頭蓋骨」の意味ですね。

ラテン語では”Calvaria”
英語では”Calvary”
スペイン/ポルトガル語では「カルヴァ―リョ」と聞こえます。

名前つながりで余談を言うと サッカー元ポルトガル代表でリカルド・カルバーリョという選手がいます。すごいですね 何しろ意味は「骸骨」なんですから。でもきっとイェスの贖罪を崇める意味で家の名前にしたんでしょうね。
(カルバーリョはイングランドのチェルシーやスペインのレアル・マドリ―で活躍した後 すでにかれこれ40歳近いはずですが 中国リーグで今だ現役のようです)

もう一つ余談。
そういえば 日本にもいました。
「宮武骸骨(がいこつ)」
作家だかジャーナリストだかで ペンネームかと思いきや 本名でした。17歳の時 戸籍上も改名したんだそうです。
著作物は読んだことがありませんが 名前からして反骨精神の塊のような人で 奇人・変人(失礼)とも言えたんでしょうか。ともかく有名人ではありましたね。

 

さて本題へ
こうしてふと気づいてみると カソリックで使用される「ロザリオ」も 語源としては関係あるかもしれませんよ。
rosario   rosarium

ロサリオは 人の名前 地名などにもありますね。宗教の影響は大きいです。どこかで関連ありそうですが これは調べてみなければなりませんね。

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